マスカラぱんだ


「福田さん。きちんと説明しなくて悪かった。ごめんなさい。」


先生はそう言うとまた私に頭を下げた。

そんな先生を見て思う。


「先生。さっきから謝ってばかりだね?」

「あ。そうだね。」

「ねえ、先生?」


その時。私の言葉を遮るように音が鳴った。

この音は、呼び出し?

先生はポケットからPHSを出すと画面を見て溜息を付く。


「急患だ。行かなくちゃ。福田さん。話の途中でごめんね。」


結局、先生は最後も私に謝ると特別室から出て行った。

ねえ、先生?

本当はね、こう聞きたかったの。

『明日もまた、会いに来てくれる?』って。


< 76 / 258 >

この作品をシェア

pagetop