マスカラぱんだ
「ええ?!!どうして?」
ドアの前でバツが悪そうな顔をして立ちすくむ碧に向かって、全力で叫ぶ。
嫌だ。どうしよう。とにかく逃げなくちゃ!
碧を見た私が、速攻で思ったことは“逃げなくちゃ!”だった。
それほどあの出来事はまだ、私の中に恐怖として根付いている。
またあの時と同じことをされるのは絶対に嫌!
だって、私、ベッドの上にいるし。押し倒されたら嫌だし。
あっ!でも私、点滴しているから逃げられない!
そうだ!今度こそナナナナースコール?
完全に血迷っている私は、耳を疑うセリフを聞いてやっと我に返る。
「福田。この前は悪かった。ごめん。」
ええ?ごめん?碧が?ごめん?