マスカラぱんだ
「あの、これ。お詫びとお見舞い。」
そう言いながら赤い顔をした碧は、背中に隠していた小さな花束をベッドに座っていた私に向かって差し出す。
ええ?碧が?私に?花束?
不意打ちの花束攻撃に、完全に思考回路がパンクした私。
碧から差し出されたピンクの小さな花束を、カクカクしながら受け取る。
「兄貴に言われた。謝って来い。って。」
兄貴?ああ、先生のことか。
先生の優しい笑顔を思い出すと、何故か気持ちが落ち着いたのが自分でもわかった。
そう言えば、花束のお礼も言っていない。
「お花、ありがとう。綺麗だね。」
この言葉に、碧は私から視線と顔を横に逸らした。
その碧の真っ赤な横顔が、先生とそっくりなことに気が付く。