マスカラぱんだ


自分を奮い立たせると、手と足をばたつかせ、身体をよじる。

でも、そんな私の必死の抵抗も、碧の力に簡単にねじ伏せられてしまった。


「お前!大きい声出すなよ!バカか!」


暴言を吐きながら、顔を歪ませる碧に口を手で覆われ、もう片方の手で両腕を掴まれる。

碧の圧倒的な力の前に、私にはもう、なすすべはない。

もう、ダメかも知れない・・・。

そんな弱気な思いが頭をよぎり、涙が目尻を伝った。その時。

碧の部屋のドアが、ガチャリと音を立てて開いた。


「碧。止めろ。」


< 8 / 258 >

この作品をシェア

pagetop