マスカラぱんだ
よし!今しかない!
僕は朝7時半に君がいる特別室に、意気込んで向かう。
この時間は朝食のはず。
だけど、そんなことを気にしていられない。
昨日みたいに、君に会えずに一日が終わってしまうのだけはどうしても嫌だった。
もし、今日も君に会えなかったら?2日間も君の顔を見られない。
こんなに近くにいるのに。もうすぐ君は退院してしまうのに。
そんな思いが僕を焦らせた。
逸るこの想いをどうしても押さえることが出来ず、競歩選手の如く、早足で君がいる特別室に急ぐ。
その時。君のことで頭がいっぱいの僕を、呼び止める声が聞こえた。
「葵。待ちなさい。」
「父さん。何か用でしょうか?」
「例の件だが再来週の日曜日に決まった。わかったな?」
来週の日曜日。そうか。そんなに早く。
「はい。わかりました。」
投げやりに父親に返事をすると、僕は急いで君がいる特別室に向かった。