マスカラぱんだ


僕の言葉に素直に従った君は、手に箸を握るとご飯を頬張る。

そんな君を見ているだけで、穏やかな気持ちに包まれるから不思議だ。


「先生。あのね、やっと普通の食事に戻ったの。ずっとお粥ばかりだったからすごく嬉しい。」

「そう。良かったね。じゃあ、残さないように全部食べること。」

「残しません!だってこんなに美味しいのに残したらもったいなし。」


そう言ってまた朝食を口に運ぶ君を見て、ふと思う。

ああ、この子。美味しそうに食べるな。と。

出来れば今度一緒に・・・。

一緒に?食事?

そこまで考えてしまった自分を慌てて全否定した。

何を考えているんだ?!

弟と同じ歳の女の子と一緒に食事だなんて。

ああ。恥ずかしい・・・。

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