マスカラぱんだ
そして最後には“迷惑掛けてごめんなさい”の文字。
迷惑を掛けたのは僕の方なのに。
今日だって本当は、君が退院するのを知っていた。
だけど、わざと君に会わないために、僕は急患に逃げた。
最後に君の顔を見てしまったら、自分の中に燻ぶっている想いに、火が点いてしまいそうな気がした。
だから僕は、君に会わなかった。
これでいいんだ。これで。
僕は君からの手紙を見つめながら、何度も自分にそう言い聞かせた。