マスカラぱんだ
もう。こうするしかないと思った。
休み時間に碧の教室まで押し掛け、ドアからキョロキョロと中を覗く。
そんな私の姿に気付いた碧は、椅子から立ち上がると、教室から出て来てくれた。
「福田が俺に何の用?」
「お願い。これを先生に渡して欲しいの。」
私は碧に一気に詰め寄り、お店で綺麗にラッピングしてもらった袋を差し出す。
お礼の品を用意したのはいいけれど、どうやって先生に渡すのかちっとも考えていなかった私。
本当は先生に会って渡したい。
でも、病院に押し掛ける勇気はない。
それに先生は、私からお礼をもらっても、迷惑なだけかもしれないし。
そんな弱気な想いに心が支配された。