想い出の宝箱
朝起きると病室には誰もいなかった
誰かいると思ったけれど
まだ来ていないようだ
昨日はたくさん泣いたから目がはれている
顔を洗いに行こうと傷だらけの体を
無理やり起こし病室を出た
廊下には何人か看護婦さんがいた
みんな私を見て何か話している
耳を澄ませると
「あの子の彼氏、あの子を助けようとして
意識不明なんだって」
「嘘、かわいそう」
なんて同情でしかない言葉が降り注ぐ
嫌になって私は痛む体を必死に動かし歩いた
すると目の前に
集中治療室が見えた