想い出の宝箱
コンコン――――
「どうぞ」
病室で一人外の風景を見ている
翔太
その顔は不安であふれていた
「調子はどう?」
「あ、彩・・・さん」
「彩さんなんて呼ばないでよー!!
彩でいいって」
「うん」
前も「彩さん」って呼ばれた
たぶん翔太には私が分からないから
なれなれしく呼べないんだろう
「俺はなんなんだろう」
「え・・?」
「やっぱり考えても考えても思い出せない」
「・・・」
翔太はここ数日まだ何も思い出せていない