想い出の宝箱
「ゆっくりでいいから」
私にはそれしか言えない
だって今の翔太の中の私は
幼馴染で小さいころから今までずっと
一緒にいたとしか言っていない
彼女だったなんて口が裂けても言えない
翔太を混乱させるわけにもいけないし
それに、私を「好き」って気持ちを
忘れたままで付き合いたくない
「彩・・・は優しいんだね」
「私より翔太も優しかったよ」
「そっか・・」
それからはいろんなことをしゃべって
病室を出た
話す内容は恋人だと思えないくらい
普通すぎる会話
外の風景の話とか
病院食の話とか
たまに友達の話
翔太の部屋にも友達はくるみたいだけど
戸惑ってばかりらしい
侑吾のことも覚えてないらしい
翔太が辛そうにしてるのはすごく分かる
だから、私が助けなくちゃ