想い出の宝箱
なんで私はこんなにも
自分を好きでいてくれる人を
好きにならなかったんだろう
手を伸ばして
「ほら、立って」
と竜也を立たせた
「え・・?彩?」
なかなか手を離さない私を
不思議に思ったのか
竜也は戸惑っていた
私はその手をギュツと
掴んで竜也を見た
「ごめん、竜也
私やっぱり翔太が好き」
「・・・・好きだって
俺が忘れさせてやる
俺なら彩を守れる」
振られても
自分の想いを伝えてくれる
竜也はすごいと思う
竜也の私への愛が
ひしひしと伝わってくる
伝わるたびに
涙が出そうになるのを
必死にこらえた
一番泣きたいのは竜也だから
ここで私は泣かない