想い出の宝箱
「彩・・・?」
彩は俺に気付いて
一瞬体を強張らせた
そしてすぐに顔を下に向けてしまった
「なんで、お前学校来ないんだよ」
「・・・・」
彩の返事はない
「みんな心配してんだぞ」
「・・・・」
「おい!!」
何を言っても
返事をしてくれなかったから
無理やり顔を上げさせて
目を合わせた
「え・・・」
彩は泣いていた
顔をゆがませながら泣くのは
何回か見たことがあるけど
彩は静かに無表情のまま泣いていた
「しょう・・・た」
小さな弱った声で彩は俺の名前を呼んだ
俺はこの声を聞き逃さないよう
彩に近づいて聞いた
「思い出せないの?」
「なにが・・?」