想い出の宝箱


俺はとっさに
彩の手を掴んだ




そして必死にさっきのがなんだったのか
昔の記憶を手繰り寄せる




だけど、


「もう無理だよ」


彩は今度こそ聞こえないような声で
そう言い



俺から手を振り払った




「じゃあね!!」


笑って手を振る彩が

もういなくなってしまいそうで

怖かった





だけど、俺は引き留められない





大事な記憶を


思い出せていない気がしたから







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