君色デイズ
「はっはっはっ。君が柿崎の推薦の子か。事情は彼女から聞いているよ。……で、いつから仕事を始められそうだい?」
「はい。それはもちろん、今日からでも大丈夫です。」
「そうか。……なら、今日から仕事に入って、柿崎やその他の使用人に、仕事内容を習うといい。宿舎の方も、すぐに使えるようにはなっているからね。」
大金持ち、しかもこんな豪邸の旦那様だっていうから、もっとお堅い人を想像してたんだけどな。
あまりにも予想外に気さくな旦那様に、あたしの緊張も解けていく。
「ありがとうございます。では今日から、ぜひ働かせていただきます。」
「ああ。……では柿崎、後は任せたぞ。私はこれからまた、地方へ出張に行かねばならんからな。」
「はい、わかりました。」
そうヨシ姉が答えたのに頷き、旦那様はあたし達の横を通り過ぎて書斎を出ていった。
本当に忙しい人なんだなと改めて思うあたしの隣、ヨシ姉は小さくため息をついた。