君色デイズ

使用人の昼食、といっても、さすが金持ちの家は違う。あたしが普段口にしていたものより、絶対高価で豪華な物ばかりだよ、コレ。

でも残念ながら、若干緊張していたせいか、ただ掻き込んで飲み込んだせいなのか、全く味を感じることはできなくて。

ヨシ姉と宮沢さんとの間で交わされる、あたしにはまだわからない仕事の話を聞き流して過ごしていた。


「――あ。そういえば、ユリ。」


だけど突如、何かを思い出したようにヨシ姉の視線があたしに向けられる。あまりにも突然だったため、「へ?」だなんてマヌケな声を漏らしたあたしに、ヨシ姉は続ける。


「あんたさ、今住んでる家どうするの?
今日から働くってことは、今日からこっちに住むんでしょ?荷物とかは?」


…――あぁ、確かに。
ある程度準備は整えてきたとは言え、その話はヨシ姉に伝えてなかったんだっけ。
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