君色デイズ
あたしが3歳のとき、事故で父が死んだらしい。それからの14年間、母が女手一つであたしを育ててくれた。
生活するのが精一杯で、贅沢な暮らしなんて無縁だったけれど、お母さんと2人、今まで生きてきた中で不幸だと思ったことはない。
だってそれが、あたし達の日常であり、健康で仲良くいることがあたし達の幸せだったから。
…――でも。
日常の終わりは嘘のようにあっさり、あまりにも突然訪れた。
「、……っ! お母さんっ!?」
長年の苦労がたたったのか、お母さんが倒れ、退院未定の入院。元々お母さんは身体が弱かったのもあり、絶対安静を余儀なくされた。
もちろん、我が家に入院費を簡単に出せるほどの蓄えなんかなく、あたし自身の授業料と生活費で、ただでさえ苦しい暮らしは余計圧迫されて。
学校が終わってからのバイトだけじゃ、近いうちお金が尽きるのは火を見るより明らかだった。