君色デイズ

「おかえりなさいませ、景雅お坊ちゃま。」

「あぁ。」


立ち並ぶ使用人たちの前を、堂々と歩く。その姿からは、すでに威厳が感じられた。
初めて見る景雅様は、すごく整った顔立ちをしており、少しばかり旦那様の面影を感じて。それに加えどこか幼さはまだ残るけれど、ずいぶんと大人びた表情をしていた。

…まぁ、それもそうか。
こんな環境でずっと、育てられてきたんだもんね。

でも、やっぱりすごいな、なんか。
あたしと、歳もあまり変わらないはずなのに。景雅様にとってはあたしなんか、一端の使用人にしかすぎなくて、彼の目にも映らないのだろうと思って、なんだか少し虚しくなった。

いや、別に、それはそれでいいのだけれど。
仕事には全然差支えないし。そもそも、使用人の分際で何をおこがましいこと考えてるんだ、あたしは。そう思って自嘲した。