君色デイズ
「……淳平でええよ。オレらには“様”とかつけんといてな。そういう堅苦しいの嫌いやねん。」


まるで葛藤するあたしの心中を悟ったように、そう照れたように言って、彼らは慣れたように屋敷の中を進んでいく。


「……立場上、そういうわけにもいかんでしょう。」


意外と、思った以上に気さくで話しやすそうであったことに拍子抜けしながら、去っていく背中にそうぽつりと呟いた。



◆◆◆



屋敷での仕事は思いのほか忙しい。
掃除、洗濯、お片付け…。まるで小間使いのようだ、なんて不意に思う。といっても、日々の生活で慣れきっていることばかりだから、なんら苦痛はないのだけれど。
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