君色デイズ
「ごめんね、ユリ。ユリにばっかり、迷惑をかけて。」
病院のベッドに横たわったお母さんは、涙を流しながらそう言ってあたしに謝る。
だけどそんな、お母さんが謝る必要なんてない。今まではあたしが、お母さんに迷惑をかけてきたんだ。だから今度はあたしが、お母さんの為に何かをしてあげる番でしょう?
そう思ったあたしは、考えをすぐに行動へと移した。約1年半通った高校を辞め、とりあえずすぐに就ける仕事を探す。
けれどそんなに世の中が甘いはずもなく、高校中退のあたしに合う仕事なんて簡単には見つからない。
どうしようかと頭を抱えかけたとき、ふと、思い出したのは従姉妹の顔だった。
従姉妹――柿崎嘉香(かきざき よしか)は7つ年上の母方の従姉妹。去年から、どこぞの金持ちの使用人として働きだしたらしく、久しく顔は見ていなかったりするけれど。
藁にも縋る思いで、電話をかけてみた。