君色デイズ
…にしてもフィアンセかー
なんか、やっぱりそういうのってあるのね。彼らとは歳は近いけれど、自分にフィアンセとか想像できなくて、考えるのをやめた。だってどうせ、そんなことありえないし。



◆◆◆



「いらっしゃいませ。お待ちしておりました、紗彩様。」

「ええ。失礼するわ。」


景雅様のお出迎えのごとく整列した玄関先、悠々と慣れたように使用人たちの前を通るのは、この前の3人とお嬢様。栗色のストレートの髪をなびかせながら、先頭を歩く。

彼女を始めて見た感想、それは一言、綺麗な子だなーだった。そしてすごく自信に満ち溢れてる。真似できない、あたしなんかとは違う。そもそも、比べること自体間違ってるけど。

景雅様に感じた以上に強く、彼女の眼にはあたしたち外部の人のことなんか微塵も映らないのだろうなと思った。育ちってすごい。お嬢様って怖い。

そんなことをぼんやり考えるあたしを知る由もなく、彼女たちは景雅様の部屋へと入っていく。ばたん、そう音を立ててドアが閉まったのを合図にするようにあたしたちも動き出す。
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