君色デイズ
「ユリ、悪いんだけど飲み物とケーキ準備して持って行ってくれる?お皿とかは出しといたから。」

「はい。」


ヨシ姉に指示された方に行けば、言っていた通りティーセットとお皿が準備されていた。


「前田さん、紅茶の方は私がお入れしますね。」

「ありがとうございます、シゲさん。」

「いえいえ、紗彩お嬢様は紅茶にこだわりがあるようですので…。慣れている私がお入れした方がいいでしょう。」


うん、なるほど。確かにそうだ。

ケーキの箱を開けようとしていたあたしの横、穏やかな笑顔をたたえたシゲさんが紅茶を入れてくれる。シゲさんもあたしがいちゃもんつけられないようにって気にしてくれてるんだと感じた。

…それにしてもすごいケーキだな。
お皿に一つずつ並べるのはいいけれど、超豪華。こんなのを普段から食べてるのかと思うと、改めて驚く。どうもこの生活基準のギャップには慣れることはできないらしい。
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