君色デイズ
「もうだいぶ仕事慣れたー?」

「えぇ、おかげさまで。」

「景雅にいびられたりしてねぇの?」

「そんなことないですよ。」


吉川様と佐々木様とそんな会話を交わす横、景雅様が不機嫌そうに佐々木様を睨む。


「…爽太お前、俺がんなことすると思ってんのか?」

「ははは、冗談だって。」


何気ない会話を交わしながら紅茶を入れたティーカップも配り終えた。一仕事終えた感満載で安心したのもあるけれど、歳が近い彼らの何気ない会話が懐かしくて少しうらやましかった。

かつてはあたしにだって、友達と談笑したりして過ごす時間があったのだ。当時はそれが当たり前で、何とも思ってなかったけれど、今となってはすごくうらやましい。

がちゃんっ!

刹那、昔のことへと想いを馳せていたあたしは、カップが割れる大きな音によって現実へと引き戻された。
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