君色デイズ
「あなた、何をしたかわかっているの？」

「紗彩様の善意を受け取れず申し訳ありません。」


ただでさえ大きな瞳を見開いて驚く紗彩様の様子を見て、少しすっきりした。
まぁそりゃね、目の前でお札破かれたら誰だってびっくりするよね。実際は破ったフリで、破いたのはポケットに入ってたメモ用紙なんだけど。仕事用のやつ、入れといて良かった。
いくら立場があっても、やられっぱなしはフェアじゃない。

けれど、やはり相当お嬢様はご立腹なようで。わなわなと震える唇を見て、完全に嫌われただろーなーと改めて思う。


「紗彩、お前の負けだ。」

「なっ！何言っているのよ景雅。」

「いいから今日はもう帰れ。……爽太、悪いが紗彩を連れて行ってくれ。」

「そうだな。ほら、紗彩帰るぞ。」

「え、ちょっと…！」


言いたいことがたくさんありそうな紗彩様を半ば引きずるような感じで、来訪者たちは部屋を出て行く。


「紗彩のことは堪忍したってや？自分が1番じゃないと気にくわないやっちゃねん。」


まるで嵐のようだ…とぼんやり思いながら、本来するべきだった仕事を思い出した。
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