君色デイズ
「…、申し訳ありません、景雅様。差し出がましいことをいたしました。すぐにお部屋の片づけをしますね!」


そうだよ、もう。まだ床にはガラスの破片が散らばってるんだったよ。
忘れるところだった。


「くっくっく…、ははははは!」


景雅様の部屋を出ようとした刹那、突如聞こえてきた笑い声に、驚いて後ろを振り返る。


「どうかなさいました?」


また何かやらかしたのかと恐る恐る問いかければ。


「お前、おもしれーじゃん。」


返ってきたのはそんな言葉と、心底面白いとでも言いたげな無邪気な笑顔で。


「紗彩のあんな顔、初めて見た。」


そう言ってなお、笑い続ける。
でも、あたしも、景雅様のそんな笑顔初めて見たよ。
そんなふうに子供みたいな笑顔で笑えるんだなーって、普通の高校生なんだなーって。

……本人には言えないけれど。
作り笑顔ではない、普通の笑顔が見れて、少しだけ嬉しかった。
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