君色デイズ
◆◆◆
「ユリちゃん!あのお嬢様に一泡吹かせてやったって本当!?」
今日の業務が終わるや否や、そう言って駆け寄ってきた佐知代さん。まったく、誰よ。こんなに口軽いの。まぁ、事情知ってるの、ヨシ姉しかいないんだけど。
横目でヨシ姉を見やれば、罰が悪そうにちょろっと舌を出していた。
「でも、あれねぇ。一万円はもったいなかったわよねぇ。」
「そうよユリ。どうせなら、ありがたくもらっておけばよかったのに。」
…あ、そっか。目の前で万札を破いてやった。としかヨシ姉に説明してなかったんだっけ。いまだ一万円について話しているふたりの目の前に、エプロンのポケットから一万円札を取り出して見せた。
「…え?これ…」
「どういう…」
「実は、破いたフリでしたー。昔から手先は器用なので。」
へへっと笑うと、ふたりも呆れたように笑う。
「ちゃっかりしてるわねー。臨時収入だと思えば?」
「どうせ破いたことになってるんだから、遠慮せず使うといいわ。」
臨時収入、ねー。何か、お母さんに買って行ってあげようかな。
でも今日はそんなことより、景雅様の笑顔を見れたことが何故か1番嬉しかったっていうことは、誰にも言わず心の中に秘めておくことにした。
【03*END】
「ユリちゃん!あのお嬢様に一泡吹かせてやったって本当!?」
今日の業務が終わるや否や、そう言って駆け寄ってきた佐知代さん。まったく、誰よ。こんなに口軽いの。まぁ、事情知ってるの、ヨシ姉しかいないんだけど。
横目でヨシ姉を見やれば、罰が悪そうにちょろっと舌を出していた。
「でも、あれねぇ。一万円はもったいなかったわよねぇ。」
「そうよユリ。どうせなら、ありがたくもらっておけばよかったのに。」
…あ、そっか。目の前で万札を破いてやった。としかヨシ姉に説明してなかったんだっけ。いまだ一万円について話しているふたりの目の前に、エプロンのポケットから一万円札を取り出して見せた。
「…え?これ…」
「どういう…」
「実は、破いたフリでしたー。昔から手先は器用なので。」
へへっと笑うと、ふたりも呆れたように笑う。
「ちゃっかりしてるわねー。臨時収入だと思えば?」
「どうせ破いたことになってるんだから、遠慮せず使うといいわ。」
臨時収入、ねー。何か、お母さんに買って行ってあげようかな。
でも今日はそんなことより、景雅様の笑顔を見れたことが何故か1番嬉しかったっていうことは、誰にも言わず心の中に秘めておくことにした。
【03*END】