君色デイズ

当然のことながら、宿舎のあたしのところへ訪ねてくる人に心当たりなんてない。一瞬ヨシ姉かとも思ったけれど、明日朝一で顔を合わせるはずだし、わざわざ来るより電話かメールを寄こすはずだ。

不安と不信感を抱きながら、できるだけ物音をたてないようにドアへと近づく。

そしてゆっくりとのぞき穴を覗いたけれど、そこにいた人物が意外過ぎて一瞬目を疑ってしまった。


「景雅様？どうされたんですか、こんな時間に。」

「あぁ、ちょっと用事があってな。」


思わずドアを開けてしまったのはいいけれど、すぐに自分が上下スウェットであることに気がつく。

対する景雅様はさっきと変わらない姿で、紙袋を手にしていて、何だかとても、自分の恰好が景雅様に対して失礼なような気がしてきた。