君色デイズ
「あたし、実は以前にも1度、景雅様がおひとりでここにいらっしゃるのを見たことがありまして。
今もその時同様、とても哀しげな瞳をされております。」


憂いを帯びた表情の目の前の彼が、あの日の彼とかぶる。

あの日は声なんてかけることはできなかったけれど、再び見てしまったこの表情を今日はもう、何だか放ってなんかおけなかった。

それはあたしが、景雅様があの笑顔で笑うということを知ってしまったからで、その笑顔とのギャップが大きすぎるからかもしれないけれど。

…いや、きっと。
あたしは景雅様のこんな顔を見たくないだけなんだろう。
無邪気な笑顔をはじめて見たとき嬉しかったように、また、彼にはそうやって笑っていてほしいんだと思う。

だってあの笑顔が一番、年相応で景雅様らしいと思うから。

あたしの言葉に、景雅様は自嘲するかのように笑った。


「…ハハ。なんっつーか、お前といると調子狂うんだけど。何でもバレてそうに感じて、すっげー情けねぇ。」

「え?」


戸惑うあたしから視線を夜空へと移し、景雅様は続ける。
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