君色デイズ
勢いよくヨシ姉の方に視線を向け放った反論の声は、思いのほか大きくなってしまったけれど。
だってまさか、さすがにそれはない、だろう。ただ、いろんな表情の景雅様を見たり本心を聞いたりして、少し気になるだけ。……ってか、使用人の分際でご子息に惚れるなんて、何と恐れ多いことか。

ヨシ姉が何でいきなりそんなことを聞いてきたかわからず首をかしげれば、あたしの眉間に寄ったしわを指先で伸ばしながら、ヨシ姉は口を開いた。


「ほら、ここにしわ寄せて怖い顔しないの。」

「だってヨシ姉が変なこと言うからー」

「えー?だってユリ、景雅様のこと話すとき表情が生き生きしてるもの。まったく、わかりやすい子…」


生き生き?
自覚していないからこそなおさら、ヨシ姉の言っている意味をすぐには理解できなかった。
あたしが景雅様に惚れた?何度も言わせてもらうけど、それはあり得ないでしょう。というかだいたい、百歩譲ってヨシ姉の言う通り惚れたとしても好きになっちゃいけない。立場が、違いすぎる。
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