君色デイズ
「あなた、使用人のくせして景雅とふたりきりで出かけるなんて、一体どういうつもり?前にも言ったかもしれないけれど、景雅はあたしのフィアンセよ?」


紗彩様がおっしゃっていることが、毎週の恒例になった日曜日デートのことであることは容易に想像できた。だけど、なんだろう。っていうかちょっと待って。フィアンセ?

ていうかそういえば、紗彩様とはじめて会った日、そんな話を佐知代さんが言っていた気もする。紗彩様は景雅様のフィアンセだという噂があるお嬢様であると。

だけど本人からいきなり突きつけられた現実に、不本意ながら動揺をうまく隠せなかった。

でも、前にも思ったけれど、普通に考えればありえないことではないのかもしれない。ってか、彼女たちの世界ではそういうのが普通なのかもしれない。
だいたい、その噂のことさえ忘れてるほどに無関心だったくせに、何でだろう?胸がぎゅっと締め付けられる。
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