君色デイズ
「…ユリ?」


突如背後からかけられた声に驚いて振り向けば、そこにいたのはヨシ姉で。


「どうしたの?さっきから元気ないけど、具合悪い?大丈夫?」


心配そうな瞳が、あたしを見つめる。
…――あぁ、もう。これじゃだめだ。仕事に私情を持ち込んじゃ、ダメ。
笑え。大丈夫。


「…紗彩様と、何かあった?」


鋭いなぁ、ヨシ姉。ヨシ姉には隠し事できないなぁ。
でも。今回のことはヨシ姉にも言うつもりはないから。無駄であると、すぐに嘘だとばれてしまうとわかっていたけれど、必死に口角をつり上げた。


「大丈夫!何もないよ。」


案の定ヨシ姉は釈然としない表情を浮かべたけれど、それ以上の追及はしてこなかった。

これで、良かったんだよね?あたしは間違ってない。

……――――あぁ、でも。
やっぱり、胸は痛いよ。





【06*END】
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