君色デイズ
『話はつけておいたから、明後日、早速こっちに来れるかしら?』
そんな電話をもらった一昨日、もちろん今のあたしに用事らしい用事もなく、早速そのあたしの勤め先となるお宅に今日顔見せしに行くことになった。
数年ぶりに会う従姉妹と待ち合わせた駅の改札口、彼女は待ち合わせ時間の5分前に姿を見せた。
「あー。待たせてごめんなさい、ユリちゃん。ちょっと仕事、なかなか抜けられなくて。」
よほど急いで走って来たのだろう、肩で息をするヨシ姉の額にはうっすらと汗が滲んでいる。
それにしても、そんなに急がなくたって。時間にはまだ、余裕があるのに。
「何言ってるの、ヨシ姉。まだ時間前じゃない。」
「呼び出したくせに相手より遅いなんて、相手に失礼でしょ。」
「いやいや、お世話になってるのはあたしの方だし。」
こういうとこ、昔から律儀なんだよね。
しばらく会わなくたって、ヨシ姉は何にも変わっていない。
大きく呼吸を繰り返し、ようやく呼吸を整えたヨシ姉に促され、歩き出した彼女に続いた。