君色デイズ
あんなふうに紗彩様に言われた後なのに、また一緒にいたり幸せ感じたりするなんて、我ながらどうかしてると思うけど。このくらい、素直になってもいいよね。

使用人としての立場、それ以上でも以下でもないのは自分が一番理解してるのだから。
この思いは一生伝えることは叶わないのだから。

黙々と目的地に向かって歩く景雅様の背中に声をかける。


「…景雅様、来週はパーティーですね。」

「あぁ。」

「ちゃんと成功させるために頑張ります。」


パーティーが素敵なものになりますように。
それくらいしか、あたしが彼にできることはない。それならば、自分ができることをしよう。

決意を固めたあたしの一歩半前、景雅様が足を止める。


「…次はここだ。」

「あ、はい。」


景雅様についていくように入ったその店は、ドレスやらタキシードやらが華々しくディスプレイされていた。
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