君色デイズ
嬉しくて嬉しくてどうしようもないのに、どうしようもできなくて。
本当はあたし自身、ずっとずっと気づいてたんだと思う。“景雅様に惚れた?”なんて聞かれるたび、自分自身でもそれを感じないように、自覚しないように必死に振り払ってただけなんだ。それを紗彩様に自覚させられて、これ以上望まないように押し殺そうとしていたのに。
“あたしも好きです”
そう、伝えたかった。一緒にいるのが幸せですって、本当の気持ちを伝えたいのに。
あたしなんかじゃ、景雅様の横にいられないよ。
こみあげてくる涙をこれ以上我慢できそうになくて、あたしはドレスのまま走り出す。
「っ!前田!」
最後に一瞬みえたのは、あの日、儚く消えていきそうだった彼、そのものだった。
ごめんなさい、景雅様。
素直になれない。立場が、違いすぎるよ。
【08*END】
本当はあたし自身、ずっとずっと気づいてたんだと思う。“景雅様に惚れた?”なんて聞かれるたび、自分自身でもそれを感じないように、自覚しないように必死に振り払ってただけなんだ。それを紗彩様に自覚させられて、これ以上望まないように押し殺そうとしていたのに。
“あたしも好きです”
そう、伝えたかった。一緒にいるのが幸せですって、本当の気持ちを伝えたいのに。
あたしなんかじゃ、景雅様の横にいられないよ。
こみあげてくる涙をこれ以上我慢できそうになくて、あたしはドレスのまま走り出す。
「っ!前田!」
最後に一瞬みえたのは、あの日、儚く消えていきそうだった彼、そのものだった。
ごめんなさい、景雅様。
素直になれない。立場が、違いすぎるよ。
【08*END】