空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜
雨
「ありゃあ、ふられちまったか? 風呂はいり」
玄関口で、わたしの靴の中がしめっているのをみて、おばあちゃんが言った。
「うん」
わたしは風呂場にむかう。
おばあちゃんちは、ステンレス製の深いお風呂。
トイレもまだ、ぼっとんなんだ。
ぼっとんって知ってる?
水はないトイレだよ。
くさいんだよ。
おばあちゃんは、これがよくて新しくしないんだってさ。
今、町の人がうるさいってぼやいてたなぁ。
もう、おばあちゃんちだけなんだって。
わたしは、カタカタ言うトイレの窓は好き。
「ふぅ」
お風呂につかって、座りでもしたら、顔までうまっちゃう。
だから、ひざを軽く曲げて入る。
ちなみに、おばあちゃんは、お風呂にあんまり入んないよ。
色々考えてたら、身体があったまってぽかぽかしてきた。
お風呂からあがると、おばあちゃんに声をかけられる。
「ごはん、出来てるで」