空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜
畳の香りが心地いい。



ぽかぽかになった縁側にさっそく座り


わたしはめいいっぱい息を吸った。



あぁ、この香り。


わたしの住んでる周りにはない。


生きた木で出来たような家の香り。


山、山、山。


家の周りは、山しかない。


緑に囲まれたここが、大好き。




「茶じゃ」


おばあちゃんが、コップをおぼんに乗せて持ってきてくれた。



「ありがとう」



こくこく飲むお茶は、おばあちゃんち特有。


水の味さえ、すぅっと喉をとおっていく。
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