空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜
「ああ!よかった!」
大ちゃんのお兄ちゃんは、ほっとしたように言った。
よかったって、わたしのセリフじゃないのかな?
「なにが?」
大ちゃんが、わたしの代わりみたいに聞いた。
「昨日、雨降ったとき。見たことない、美少女おったから、声かけたけど、幽霊かと思って、逃げだしてん」
「――……ぷっ」
二人して、また吹き出した。
大ちゃんのお兄ちゃんの話を聞いたら
さっき
ヘビをみて逃げ出したことが、かさなった。
それは、大ちゃんも一緒だったみたいで…。
どきっとする。
だって、同じタイミングで顔を赤くした。
真っ白いヘビの前…
のことまで…。
思い出しちゃった。
「なんや?二人して、笑った思ったら、黙りこんで、変……」
「い、いいから、兄ちゃんは部活、はよ行け。あ。うちな、兄ちゃんの部活のせいで、旅行の計画なくなってん」
大ちゃんが、わたわたとしながらも、早口で言った。
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