空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜


「そんなん言うやつは、あとで、すごい目にあうで?うわ!もう、時間ない」


「ははは、行ってらー」


ホッとしたみたいに、大ちゃんは、玄関にむかうお兄さんに手をふった。



「行ってらっしゃい」



わたしも、小さくつけたす。



「うん、行ってくんね。 また名前おしえてな。俺は、洋や」



にこっと、さわやかに言われて、少し照れてしまう。


やっぱり、背がすっと高くてかっこいい。



「はよ、いけって」



大ちゃんが、今度は怒ったみたいに言った。




後で洋ちゃんに…(そう呼ぶように言われた)


聞いたら、遅刻寸前だったらしい。


わたしが、おばあちゃんの家にいる間中―


たくさん。


大ちゃんや洋ちゃん


たくさん。


二人と遊んだ。



誰が一番怖がりか

肝試ししたとき。


引き分けになったけど。

大ちゃんは、ずっと

洋ちゃんがいかに、こわがりかをわたしに、内緒で言い続けた。



洋ちゃんは、わたしを幽霊だと勘違いして、逃げたことで、こわがりだって知ってたけど……。



ふふ。



けど、大ちゃんも


そうだよ



ね?




.
< 33 / 100 >

この作品をシェア

pagetop