空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜
「そんなん言うやつは、あとで、すごい目にあうで?うわ!もう、時間ない」
「ははは、行ってらー」
ホッとしたみたいに、大ちゃんは、玄関にむかうお兄さんに手をふった。
「行ってらっしゃい」
わたしも、小さくつけたす。
「うん、行ってくんね。 また名前おしえてな。俺は、洋や」
にこっと、さわやかに言われて、少し照れてしまう。
やっぱり、背がすっと高くてかっこいい。
「はよ、いけって」
大ちゃんが、今度は怒ったみたいに言った。
後で洋ちゃんに…(そう呼ぶように言われた)
聞いたら、遅刻寸前だったらしい。
わたしが、おばあちゃんの家にいる間中―
たくさん。
大ちゃんや洋ちゃん
たくさん。
二人と遊んだ。
誰が一番怖がりか
肝試ししたとき。
引き分けになったけど。
大ちゃんは、ずっと
洋ちゃんがいかに、こわがりかをわたしに、内緒で言い続けた。
洋ちゃんは、わたしを幽霊だと勘違いして、逃げたことで、こわがりだって知ってたけど……。
ふふ。
けど、大ちゃんも
そうだよ
ね?
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