空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜


わたしは、おばあちゃんの指さす方をタクシーの窓から見た。



晴れた空に

雲が一筋

タテに流れるように
うかんでいる。


それは、雲の形が…

竜に見えるものだった。



「空の竜になって、会いにきたんやでえ」




一生懸命なおばあちゃん。


わたしは、ぷっと、吹き出した。


大ちゃんも、おばあちゃんの横でゲラゲラと笑ってる。


わたしも、タクシーの中で笑ってる。



どんどん離れていく距離。



だけど


まだ


大ちゃんと、一緒にいるみたい


隣で笑ってるみたい…。


ふたりして笑ってる。




ほんのちょっと


涙がにじんだのは



大ちゃんには、秘密だよ。






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