空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜
大ちゃんは、あと少しで山の上に出るわたしに、手をさしだした。
こういう自然に優しくするところ、ドキッ、とする。
「……りがと」
「え?なんやて?聞こえへん」
「むぅ。ありがと!」
「クスクス、ええで、いつものことや」
大ちゃんは、こらえきれないみたいに、笑いをこぼして言った。
あ、この顔好き…。
ん?
す、好きって!
別に大ちゃんが…!
じゃなくて、顔が…
黙ってたら、本当にきれいな顔してるし!
そっ、それに性格は
意地悪だし…。
「前の方がもっと、優しかった」
「前てなんや?」
「小学生のとき!」
「…当たり前や。同じなわけない」
ぎゅう、って大ちゃんはわたしの手を強くにぎりながら言った。
ちょ、ちょ、ちょ、っとぉ
そんなにしっかり、つかまれたら、なんか、恥ずかしい…!