夜獣-Stairway to the clown-
どこを見ているのかと思い、そちらを見ていると、いきなりパンというロケット花火が弾けるような音が聞こえる。

「な、なんだ!?」

どこから鳴ったのかと思い、周りを見回しているとさらにパンという音が。

そして、連続でパンパンと音が鳴っていく。

近所迷惑もいいところなので誰が原因かと思い、それを仕組んだといえば一人しかいない。

意識を集中しているのか、こっちが見ていることには気づいていない。

どんな技を使っているのかは全くわからないものの、早くとめなければ警察がきかねない。

「もういい!証拠があることは解った!」

ベンチに座っている雪坂の肩を掴み、前後に振る。

頭が揺れていることに気づいたのだろうか、鳴っていた音が鳴り止む。

「気持ち悪いんですけど」

雪坂の言葉ではっとなる。

顔からは血の気が引いているようで、気分が悪そうである。

さすがに頭を揺らし続ければ誰もがそうなるだろう。

「解ってもらえました?」

まだ気分が悪いのか、頭を抑えている。

「ああ。どうやってそんなことをやってるんだ?」

「説明しにくいですが、意識を集中させて何もない場所に空気の振動を起こして音を出すといえばいいですか」

「意識の集中?」

「頭の中で波の揺れてるイメージをして、その後に波を弾けさせるイメージを組み込ませると可能になります」

「よく解らないが、さっきのはそのイメージの連続を、連発でやったのか?」

「意識の連続は頭痛を催しますけどね」

「お前にしか出来ないのか?」

「一般人には不可能です。音を鳴らすのは私特有というところだと思いますけど、宇宙人の血を引いてる、もしくは宇宙人ならば、何らかの能力を発動させることは可能かもしれません」

「お前の星の奴らはそんなことを自在にこなすのか」

「どんな能力があるのかは他人には話しません」

「何故?」

「話せば不利になります。自分の技をわざわざ話すのは敗北を認めているでしょう」
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