夜獣-Stairway to the clown-
3組のほうを見てみると、女子の列の中間らへんに夕子の姿があった。

話してるという風には見えず前を向いていたが、こちらの視線に気づいたのかにっこりと笑顔になり手をふってきた。

小学生じゃあるまいし、リアクションはとってられずそれを無視して冷たい目線で見た。

夕子は何も期待は出来ないと踏んだのか、それ以来こちらを見ることはなく前を向いていた。

30分弱の時間が経ち、無駄な話が終わろうとしていた。

校長は満足げな顔をしているが、こちらとしては疲労困憊な顔をしているのが見えてないのだろうか。

またこんな話をされちゃ、一揆が起こってもおかしくない状況だと思う。

もちろん、僕は参加しないけど。

話が終わると開放されるのかと思いきや、どこかのクラスの教師が前に出てくるとこの後のことを説明しはじめる。

特に聞いてて必要としない情報ばかりだ。

それは時間がかかることはなく、すぐにでも終わり安堵のため息を吐いた。

そこそこに時間が経ち、体育館から帰った時には1時間が経っていた。

教室に戻ったら机に突っ伏した。

何時間ぶりの感触は、もう何年も会っていない友人に再会したような気分になる。

「疲れた」

一言告げたのと同時に、皆木教師が入ってくる。

少しぐらいは休ませてほしいと思い、机から身を起こす。

席替えなどは一ヶ月単位で起こるという話や部活動に入ることができるのも一ヵ月後だという話をした後に、自己紹介をするということになった。

早速、あ行の始めからどんどんとやっていく。

大体の奴らは無難なことをいい、回避していく。

そんなことでいいのかと思いながら、僕もそうしようと思っていたのは口が裂けてもいえなかった。

あっという間に僕の前まで来ると、前の女子も無難に終了していた。

席を立つと、適当に言うことにした。

「あー、神崎耕一です。趣味は人間ウォッチングと読書です。よろしくお願いします」

特にこれといったツッコミもなくスルーしていってくれることにはありがたいと感じる。
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