夜獣-Stairway to the clown-
怒りで開眼したとでもいうのか。

そんな安易なことで紅い目になるんだったら僕だって紅い目になっていてもおかしくないはずだ。

考えるとすれば、過去に何らかがあり、きっかけとなってスイッチのオンオフができるようになり、今日の怒りで知らないうちにスイッチが入ったというところだろう。

それにしても、アイツが出てこなければどうなっていたことだろうか。

今思うと自分が情けない。

男である僕が女を守れず、高校生にもなって姉に守られるという失態。

もっと強くなったほうがいいんだろうが、格闘技をするにあたってそこまで根気強くやる気もでない。

結果オーライとはいいがたいが助かって本当によかった。

でも、今度はアイツらの仲間が現れたとしたらどうするのだろうか。

アキラがあの力を使えるとも思えず、都合よく現れるわけもない。

どうすればいいのだろうか。

今の世の中物騒すぎて、自分の身は自分で守るしかないのか。

女にとっては物凄く不利である。

たとえ、防犯グッズがあろうがなかろうが、向こうがそれなりの人数でこれば意味はない。

警官がそこらへんにいてくれれば問題はないのだが、近くに配置されている様子はない。

考えれば考えるほど心配になってくる。

そんなことばかり考えていれば外にすら出れなくなってしまうだろう。

一度考えるのを止めて、明日に備えて寝ることにしよう。

明日は忙しくなりそうである。

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