夜獣-Stairway to the clown-
昼飯を食べてないので、腹が減っている。

適当に品を選び、数分経つと店員さんが頼んだものを運んでくる。

ここで紹介する必要もないので、さっさと平らげて少し休憩をとることにした。

ゆっくりしていると、後ろから話し声が聞こえてくる。

「最近物騒だよね」

「この前もなんか拉致られたっていう話あるよ」

「マジ?」

「マジマジ。シャレになんないよね。ここってそんな場所だっけ?」

「わかんない。でも、多くなった気はする」

「マジ怖いね。あんま一人では歩かないほうがいいかも」

桜子ちゃんも拉致られかけた。

あってほしくはないが、噂によれば拉致された子もいるのか。

アキラに感謝出来そうだ。

後ろの席の女達も他愛無い会話になったので、ここから出てもよかった。

ファミレスに出す金もかなりの痛手だと店を出てから気づいた。

店の外は日が傾いており、夕暮れの茜色が俺の顔を照らしている。

時計を見れば、十六時を指しており学校の終わりの時間を告げている。

(学校に向かうか)

今からいけば鉢合わせの可能性もある。

学校まで行くのに10分程度であり、時間はかからない。

出来るだけ早くつくように走って向かうことにした。

 

学校に着くと下校している生徒たちの姿がちらほらみえている。

その中に夕子の姿を探すけど、それらしき人影は見つからない。

もう帰ったのかとも思ったけど中にいる可能性もある。

往復30分程度だが、二度手間になるのは面倒である。

気づいてみれば制服を着ていたので中に入ることも可能だった。

校門をとおり、学校の中へと入っていった。

学校を休んだからといっておかしな視線を向けるやつもおらず、皆が素通りしていく。

入学し始めだから知り合いなんてそういないのでそれも分かる。

靴を履き替えるとすぐにでも三組の前に着いた。

覗き見ると、夕子の姿がある。

確認としてもう一人を探すが、見当たらない。

今日は一緒に帰る予定はないのだろうか。

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