夜獣-Stairway to the clown-
「僕も人付き合いがうまいほうじゃないし、夕子と帰るのが今のマイブームってやつだよ」

「今のって、いつかは飽きるってことでしょ」

「細かいな。帰るのに一々理由づけなんか必要ないんだ。いつもと一緒で楽しいからでいいじゃないか」

「そうだね。何気にしてるんだろ」

こうして夕子と帰ることになった。

それにしても、夕子は何でそんなに意地になって理由をほしがっていたのだろうか。

僕と帰ることには戸惑いがあるのか。

（そうだとしても渡さないわけにはいかない）

　

帰り際、最近のことを話しつつも会話の弾みが感じられなかった。

夕子はうんとか頷くぐらいで、それ以外のことは言わない。

元気がないというか、生気が感じられないというか、どうしんだろう。

こんな状態で渡して大丈夫かと思いながら、公園の前までたどり着く。

ここで桜子ちゃんが襲われかけた。

ここで渡すのもなんだが、ここら辺でいいだろう。

「ちょっといいかな？」

「え？」

今声をかけられたことに気づいたような感じでこっちを向く。

今まで話ていたことはそんなに覚えていないだろう。

「夕子に渡したいものあってさ」

「何？」

「えーっと」

取り出そうとしたときに、頭に鈍痛が走る。

「い！って」

頭を抑えながら、後ろを向くと見覚えのある顔ぶれが並んでいる。

相手は三人、どれも怪我を負っている

「ストラーイク！」

「コ、コウ！？」

僕の頭をビール瓶で殴って喜んでいるようだ。
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