夜獣-Stairway to the clown-
「世話しにきてやったよ、ガキが!」

「あん時は痛かったぜ」

あん時といえばどの時だろうと思っていると、鈍痛と共に思い出した。

そういえば桜子ちゃんを襲ったやつらに似ていというか本人達だろう。

一日で病院を抜けてきたのはすごい回復力といえるだろう。

「病院抜け出すのに苦労したんだよ。君にお礼がしたくてね」

「お礼?必要ないっすよ」

「いやいや、受け取れよ」

「お礼する代わりにその女くれよ。後、あの女の場所も教えてくれよ」

こいつらの頭の中には女しかないのだろうか。

「あんたらに上げるもんなんて一つもないっす」

きっとにらむと腹に相手のこぶしが決まっていた。

「オゴ!」

痛みに耐え切れず、俺はそこにうつ伏してしまう。

「コウ!」

夕子は急いで俺のもとへと駆け寄ってくる。

「いきなり何するの!叫びますよ?」

怒った顔でにらみ付けながら、懐から携帯を取り出す。

「叫ぶ前に拉致れば問題ないんじゃない?」

夕子は一人の男に後ろから口を押さえられ、腕をつかまれ無理やり立ち上がらせる。

このパターンしか僕の周りには起こらないのか。

前はアキラが来てくれたからよかったけど、今日は寝てるから来るはずがない。

人通りも感じられず、誰かきそうな気配もない。

叫ぼうと思ったが、腹に決まったボディーで声が出ない。

「こんなにも役にたたないのか」

土を握り締め、三人が遠ざかっていくのを見ながら立ち上がる。

「ふざけんな!こんなの認めれるか!」

「そうだな。こんなグズった結果なんて誰も信じたくはないよな」

「え?」

後ろから声が聞こえてくる。
< 73 / 121 >

この作品をシェア

pagetop