夜獣-Stairway to the clown-
「色々と世話してくれてありがとうな」

「礼をするなら金がいいんだけどね」

「がめついやつだ」

「冗談だっつうの」

「それよりお前、大丈夫か?」

「まあね。あんたとあの子のおかげかな」

「雪坂か」

「あの子なんかいいんじゃない?結構強かっぽいよ」

「雪坂は駄目だ。他に好きな人がいるっぽい」

「あんたって本当に諦めてばっかだねえ」

「それでいいんだよ」

「別に私が苦労するわけじゃないからいいけど」

そういうとアキラは部屋から出て行く。

部屋には一人残され、特にすることがない。

今は夕子のことを考えることすら苦痛である。

何も考えたくない一心で寝ることにする。

腹が減っていたのだが、起きていると何か考えそうなので嫌だった。

明日になれば自分の気持ちも落ち着くだろうと思いたい。

夕子のことをもう諦める。

眠りに落ちていく中で、明日からはそれだけを頑張ろうと決心した。
< 77 / 121 >

この作品をシェア

pagetop