夜獣-Stairway to the clown-
「私はかまいませんが、神崎さんとは家が逆です」

「部活もやってないしさ、時間もあるんだよ。雪坂が気にする必要はないって」

「なら一緒に頭の運動でもしましょうか」

雪坂も帰る準備が整ったのか、一緒に帰ることとなった。

意外にすんなりいったことにちょっと驚いていた。

同じ血族だという事でちょっとした特別扱いでもしているのだろうか。

考えながら、ゆっくりと校門へと歩いていった。

雪坂は終始笑顔であり、いろんな話のネタをもっていた。

ちょっとした話でも聞き入ってしまうほど、話し上手である。

特に歴史に関しては自分が体験しているせいか、面白い。

何が本当なのか、何がうそなのかそれも雪坂の話ならば信じることが出来た。

歩いていると、あっという間に雪坂の家の近くまでついてしまった。

どの道をきたのかわからないくらい回りが見えなかった。

横には長い塀があり、どこまでも続く感じだった。

何坪あるのかわからないほど圧倒される。

門の前までついていってみると、門もかなりの大きさがあり何人通れるか試してみたい気持ちがある。

周りは畑であり、ポツポツとコンビニがあるくらいで他には何もない。

いつ都会から離れたのか覚えていない。

「たまにはいい運動にはなります」

「そうだな」

雪坂がリムジンで通っている理由が今日やっとわかった。

理由は一つであり、遠いということだけだ。

俺は今からこの土地から歩いて帰らなければならないとなると憂鬱だ。

「そいじゃあ、また明日な」

「ここからだと少し遠くないでしょうか？」

「問題ない。暇はあるしな」

「よければ車でお送りします」

「いいの？」

「今日は予定が空いてると思いますから、少し待っててもらえます？」

「いいよ。歩く時間よりもここで待っていたほうがはるかに早そうだ」

雪坂は門の横にある小さな扉から中へと入っていった。
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