夜獣-Stairway to the clown-
一人暮らしだとしたら、寂しすぎて泣いてしまうかもしれない。

当然ちょっとした冗談ではある。

「さっさと鞄置いて飯でも食べよう」

宣言どおり、自分の部屋に行くと鞄を置き服を着替えて一階へと降りる。

リビングには何も用意されておらず、母親も帰ってない以上自分で作るしかなかった。

たまに自分で料理をつくるので、面倒ではあるけど味に心配はない。

冷蔵庫の中身をみると食材はあるので、料理を作ることは可能だ。

冷蔵庫の中を豊富にさせてあるというところは、さすが母親というべきところだろうか。

最初に肉が目に入ったので軽く肉炒めでも作ることにした。

料理について説明する必要はないので、さっさと作り上げ今それを食している。

「上手いとはいいがたい」

誰の作った料理も同じに感じられる自分だから、手料理で上手いといったことがない。

食っている間も誰も帰ってくることなく、食べ終わってしまった。

後は風呂に入り、部屋に帰って寝るだけであった。

その生活が半年続いていた。


次の日の朝ちょっとしたニュースが流れた。

ニュースというのはこの近所で人が死んでいたという事。

その死に方は人ができるようなものではないということ。

獣か何かにやられたわけではなく、爆発したように全てが弾けて肉と骨が飛び散っていたということ。

犯人はいまだに捕まっていないという事。

ニュースではもうちょっとやわらかくいっていたが、そういうことである。

知り合いでもなかったので良かったという気持ちもある。

誰がこんなことを出来るのか、それはまったくわからない。

爆弾で人を木っ端微塵にすれば何も残らない。

人を爆弾のごとく爆破させるなんて、どうやったとしても普通では無理な話だ。

人間技ではないとすれば、血族かとも思えた。

雪坂もそんな奴がいるということは教えてくれはしない。

言わないだけなのかもしれない。

これは調べる必要があるのかもしれない。

制服には着替えており、飯も食っていたので気になる真相を確かめるべく学校へと向かった。

登校の際は一人であり、寂しいとは感じるものの自分のペースで行くことが出来る。

それが得であるかどうかは別だ。
< 86 / 121 >

この作品をシェア

pagetop