夜獣-Stairway to the clown-
「そのような能力があれば楽です」

雪坂はどこまでの力を秘めているのか謎めいてきた。

「匂いがわかったのはいいが、これからどうするかな」

「他の場所も探してみます?」

「今日はやめとくか。明日も学校あるしな」

「早く捜査を切り上げたいのですか?」

「闇雲に探すのも疲労がたまるだけだしな」

「あなたがそう望むのであれば従います」

「それに、匂いが分かってるなら町のどこかでわかるだろ」

「匂いがあるといっても常に注意深く探っておかないとわかりません」

「え?」

「最近は香水などの匂いも混じって飛びかっているので、複雑です」

「やっかいな話だな」

「犯人がこの町から抜けしてどこかへ高飛びなどという確立は少ないでしょう」

「なんでだ?」

「答えは簡単です」

「何だよ?」

「分かりません?」

そういえば、証拠は何も残っていないといっていたな。

それに、人間には見つけられない匂い。

「能力者だからか」

「正解です。ですが、初めて能力を使って人を殺めたことからすれば、発見されることに恐れて逃げたす可能性も大きいです」

「でも、力を試すような奴がそんなことでブルっちまうほどヤワでもなさそうな気がするけどな」

「いつかは街の中で出会うかもしれません」

「いつかといわず明日にでも学校であったりしてな」

「その可能性も否定できませんね」

「自分で言ったのもなんだけど、勘弁してほしいところだけどな」

「若者の犯罪も増えつつありますし、何が起こるかわかりません」

「うーん、ま、ないことだけは祈っておくとして、出来るだけ注意深く探っといてくれよ」

「分かりました」

「帰りは大丈夫か?」

「そこに車を待たせてあります」
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